「辺りがゆっくりと闇に覆われ始めると、いよいよライトアップの始まりです」
「始まるときって、灯りが一気に付くのかと思ってましたけど、全然違いましたね」
「ねー。最初なんてまだ明るかったのもあったんだろうけど、灯り点いてんのか点いてないのか、全然分かんないくらいだったし。周りでもみんな『えっ? 点いてる? まだ?』的な会話してたし」
「けど、20分もすると辺りはこんな感じ」
「集落の南端部。資料館とかがある辺りだったかな?」
「この辺り、カメラ構えてる人が一番多くなかったですか?」
「あの場所が一番の撮影ポイントになってるんよ。周りの道よりも一段高くなってるし、周りは雪原で観光客が写り込む心配無いからね。ヲイラは時間ギリギリに行ったから、右端に人写っちゃってるけど。いい位置確保してる人は、2・3時間前から待ってたみたい」
「そう言えば、左奥に行けば行くほど気合いの入った方々ばっかりでしたね」
「あい。けどヲイラはいつもの如く、じっと同じ場所で写真撮るなんて年寄り臭い真似は出来ないので、何枚か撮ったらあとはぶらぶら」
「なんか・・・・・、写真ちょっとぼやけてません」
「ギクッ」
「また何か失敗ですか?」
「キッ、キノセージャネ?(滝汗」
「へぇ・・」
「あい、白状します。ぢつはこのとき気温は氷点下3℃。昼間との温度差で、一度空気中に出た水分が冷えてレンズにかなり酷い結露が起こってました。かなりこまめにクロスで拭いたんだけど」
「ごらんの通りの有様だよ・・・」
「なるほど」
「まっ、他にもF値とか色々理由はあるんだけど、そこら中でみんなが白い息吐いてるような状況じゃぁ、仕方ないわな」
「おっきな雪だるま。こういうのも地元の人が作ってるんですかね」
「だね。観光客の誘導とかも地元のボランティアさんだったし」
「そう言えばマスター、イタリアから引っ越してきたって言う地元のボランティアの人と話してましたよね」
「あー。あの人面白かったなぁ。白川郷の自然が好きになってイタリアから引っ越してきたとか言ってたなー」
「デモ、冬ハコンナニ寒クナルナンテ思ッテ無カッタ!! 騙サレタ!!」
「って言ってたの、よく覚えてますよ」
「うひひ、太陽の国イタリアから越してきたらそうなるわな」
「けど、何だかんだ言いながら大自然とこの綺麗な風景を楽しんでる気持ち、分からなくはないですよね」
「厳しい自然と、都会とは違う不自由な生活。けど、それを跳ね返そうと頑張る元気な人達とその人達に守られた美しい風景が小さな山村にはありました」
「という事で、少し時間はかかりましたがこれで白川郷編はおしまい」
「マスター、次はどこ行きましょうか」
「次回は淡路島ですよー」
「淡路島? 何見に行くんですか?」
「淡路島は今、花の島で有名なんよ。元花博の会場を中心に島全体で花で町興しならぬ、島興しに力を入れてるのです」
「花の島ですかー」
「うんむ。ちょいと様子を覗きに行ってみない? 綺麗な写真が撮れるかもよ」
「はい、面白そうですね」
「と、言う事で次回は淡路島。花が咲き誇る風景をお楽しみください」
次回に続く・・・・・